5,609回表示されて、開かれたのは30回だった——数字を初めて分解した日【創業日記 #6】
今日は朝から夜まで動きましたが、新しい機能は一つも足していません。触ったのは全部、お金が実際に通る道のどこかでした。
前に一度、自分で気づいたことがあります。仕組みを作るのは前に進んでいる感じがして楽しいのに、それ自体は1円も生みません。準備には中毒性があって、やった感があるぶん危ない。だから今日は、手をつける前に毎回『これは本当にお金を生むのか』と自分に聞くことにしました。
現在地はこうです——出品18点、売上はまだ0円、評価5、販路2つ、出品の表示回数5,609回、ブログの新規訪問73人、自社サービス登録10人。
| 今日の主眼 | 新しい機能を足すのをやめて、お金が実際に通る道のどこかだけを触る |
|---|---|
| 今日の一言 | 数字を直視するのは怖い。でも見たら、やることが1つに絞れた |
5,609回表示されて、開かれたのは30回だった
今日いちばん効いたのは、売り場の数字を分解して見たことでした。今まで『まだ売れないな』とだけ思っていたのですが、その一言の中に、まったく違う2つの可能性が混ざっていました。
見てもらえていないのか。それとも、見てもらったけれど選ばれていないのか。この2つは打つ手が正反対なのに、区別せずに眺めていました。
数字はこうでした。検索結果に表示されたのは5,609回。そのうち実際にページを開いてもらえたのが30回。そして購入は0件です。
つまり、目には入っているのです。5,609回も。それでもほとんどの方が開かずに通り過ぎていく。開いてくださった30人も買わなかった。
この形が分かった瞬間、やることが1つに絞れました。値段を下げても意味がありません。開かれていないのだから、下げた値段は誰の目にも入らない。直すべきは、一覧に並んだときに目に留まるかどうか——つまり見出しの言葉と、最初の1枚の写真です。
売り場からは『価格が周りより高めなので調整しませんか』という案内も出ていました。ありがたい助言ですが、売り場の側としては売れれば手数料が入るので、構造上いつも安くする方向に促されます。今日は乗りませんでした。まだ見てもらえていない段階で値段を下げるのは、順番が違うと判断しました。
去年までの自分なら、たぶん素直に下げていたと思います。数字を分けて数えるだけで判断が変わるというのは、地味ですが大きな違いでした。
行き止まりを一つ塞いだ
自分のサービスを客の側から歩いてみたら、行き止まりに突き当たりました。すでにログインしている状態なのに、ある操作をするとログイン画面に飛ばされて、そこから先へ進めなくなるのです。もうログインしているのに、またログインを求められる。
一瞬、自分の操作が悪いのかと思いました。でも何度やっても同じでした。案内するべき場所への案内が抜けていて、そこで止まる作りになっていました。
気づいた瞬間に思ったのは、自分のミスへの落胆よりも、ここで止まってしまった方がいたかもしれない、ということでした。しかもこれは、一番前に進もうとしてくださった瞬間に起きる行き止まりです。作り手として、これほど痛い場所はありません。すぐ直しました。
自分で歩いてみなければ、永久に気づかなかったと思います。画面は出ているし、エラーも表示されない。数字を見ていても、ここで人が消えているとは分かりません。作った人間が客の側に立って一度歩いてみるのが、一番安くて一番効く点検でした。
人数だけ見て安心していた期間があった
測る仕組みも入れ直しました。今まで訪問者の数は見えていたのですが、『そのうち何人が試して、何人が次に進んだか』が一切見えていませんでした。
人が来ている、という数字だけは毎日見ていました。それで何となく前に進んでいる気になっていた期間が、正直あったと思います。でも来た人数と、その人が前に進んだかどうかは、まったく別の話でした。売り場の5,609と30を並べて痛感したのと、同じ構造です。
今日入れたのは、実際に一歩進んだ瞬間だけを記録する仕組みです。試した、登録した、次に進んだ。この3つが分かるようになれば、どの入口が本当に役に立っているかが初めて見えます。逆に言えば、今までそれが分からないまま発信していたということでもあります。
個人が特定できるような情報は一切送っていません。送るのは『どの段階まで進んだか』だけです。ここは最初に線を引きました。
記憶より、動いているものを見る
今日はもう一つ、自分の中で戒めにしたことがあります。過去の判断メモを根拠に、今の方針を止めかけたのです。
以前『これはやらない』と決めた記録が残っていたので、それを持ち出して待ったをかけました。ところが実際に中身を確かめてみたら、その方法はすでに作ってあり、安全のための仕掛けまで含めて動いていました。判断はあとから変わっていたのに、メモだけが古いまま残っていたのです。
同じことが同じ日にもう一度ありました。ある設定が短すぎると指摘したのですが、確認したら手作業の分と自動の分で使い分けてあって、すでに正しくなっていました。
つまり二度とも、記録を信じて実物を見ていなかったわけです。会社が育つほど、決めごとの数はメモを更新する速さを追い越していきます。だから順番を決めました。まず実物、次に記録、最後に記憶。情けない話ですが、こういう順番を痛い目で決められるのは、まだ小さいうちだけだと思っています。
午後は、売り物と、初めての売り込み
午後は物販の側を進めました。実家に眠っていた品を6点、海外向けに出しました。詳しくは実録シリーズのほうに書きますが、同じような品なのに題材によって相場が3倍以上違って、ひとまとめに値付けしていたら取りこぼしていたところでした。
夕方には、海外の作り手3社に日本での展開を提案する連絡を送りました。3つとも別の国です。先週まで『こういう仕組みがあるらしい』と学んでいた段階だったのが、今日初めて自分から英語で手を挙げました。
返事が来る確率は高くないと聞いています。1週間待って、返事がなければ一度だけ追いの連絡をして、それで終わりにするつもりです。しつこくするのは、次にお願いする方への評判にも関わるので。
今日やったことの共通点
並べてみると、今日やったことには共通点がありました。全部、お金の通り道のどこかです。詰まっている場所を数字で特定し、行き止まりを塞ぎ、通った人数を数えられるようにし、売り物を並べ、新しい取引先に声をかけた。新しい機能は一つも作っていません。
一番大きかったのは、たぶん数字を分解したことだと思います。5,609という表示回数だけ見ていたら『けっこう見られているのに売れないな』で終わっていました。30という数字と並べて初めて、詰まっている場所が分かりました。
まだ売上は0円です。器は十分そろったので、ここから先は中身を入れるだけです。
明日やること
- 見出しの言葉を、探している方が実際に使う言葉に書き換える。開かれない理由の大半はここだと思う
- 一覧に並んだときの1枚目の写真を見直す。開くかどうかは、ほぼこれで決まっている
- 出した品が何日で何点売れるか測る。ここが分からないと、この先の計画が全部ただの願望になる
- 売れたときの梱包と発送を、売れる前に一度練習しておく
- 1週間後、返事のない相手に一度だけ追いの連絡をする
この連載は、ゼロから会社を立ち上げ、大きくしていく過程をそのまま書き残す記録です。 きれいごとだけでなく、迷いや反省も出していきます。上の「現在地」の数字が号を追うごとにどう変わっていくか、一緒に見届けてもらえたら嬉しいです。 国内フリマ仕入れ×eBay輸出の実録はブログ一覧から読めます。



