英語は話せます。でも商談の英語は別物でした——通訳2人に、資料を先に渡した話【実録・クラファン挑戦記 #9】

前回、返信が突然来て、そこから資料を仕上げて送ったところまで書きました。今は、共同創業者本人とのオンライン商談に向けて日程を調整している段階です。こちらから候補日を出し、相手の返事を待っています。
先に正直なところを書きます。英語は話せます。海外で暮らし、海外の友人とも普通にやり取りしています。ただ、商談の英語は日常の英語とは別物でした。独占の範囲、最低注文数、支払いの条件——こういう話になると、単語は聞き取れても、そこに含まれている意味や条件のニュアンスを取りきれない場面が出てきます。
自分の理解が9割で止まるなら、残りの1割に契約の要点が入っているかもしれない。そう考えて、通訳に入ってもらうことにしました。今回はその準備の話です。
| 今回のテーマ | 商談の英語は日常の英語と別物。通訳2人に、意味が分かる状態で入ってもらう |
|---|---|
| 現在の進捗 | オンライン商談の日程を調整中・商談はこれから(まだ成約なし) |
日常の英語と、条件を詰める英語は違う
会話ができることと、契約の話ができることは、別の能力だと今回はっきり分かりました。日常会話は、多少ズレても文脈で補えます。相手も察してくれる。でも商談は違います。「その条件は期間限定なのか」「その数量は1回あたりなのか年間なのか」——ここを取り違えたまま進むと、あとで全部やり直しになります。
英語ができるからこそ、逆に危ないとも思いました。半分分かると、分かったつもりで頷いてしまう。全く分からなければ「もう一度お願いします」と言えるのに、7割分かると流してしまう。ここが一番怖い。
だから、自分が話すことと、正確さを担保することを分けました。話すのは自分。正確さは通訳に見てもらう。
通訳は2人。それぞれ違う持ち味の人に頼んだ
お願いしたのは2人です。1人はバンコクで出会った、気さくで明るい人。場の空気を和らげてくれるタイプで、初対面の相手との商談ではこれが効きます。もう1人は20年の付き合いになるセネガル人の友人で、5か国語を話します。言葉が入れ替わる場に慣れている人です。
当日は、片方が主に訳し、もう片方が数字のメモと聞き漏らしの補完に回る形にする予定です。1人だと、訳すことに集中している間に数字が流れていきます。2人いれば、そこを取りこぼさずに済みます。
考えてみれば、友人にはトルコ人でアラビア語も話す人もいます。言葉で困ることは、実はあまりない。長く付き合ってきた人たちが、そのまま今の仕事を支えてくれています。
「通訳お願い」だけでは、意味は訳せない
ただし、当日いきなり「よろしくお願いします」と頼むのは違うと思いました。友人は言葉ができても、この話の背景も、ビジネスの仕組みも、今日の商談で何を決めたいのかも知りません。言葉は訳せても、意味は訳せない。
だから資料を先に作りました。①この商談は何か——3分で分かる背景。②ビジネスモデルの説明。③当日の流れ。④確認したい数字と、その英語での聞き方。⑤言ってよいこと・その場で約束しないこと。⑥用語の対訳。
狙いははっきりしています。私が相手と話しているとき、通訳の側に「あ、今この件を言っているな」と分かってもらうこと。背景が頭に入っていれば、単語を追わなくても流れで補える。逆に背景がなければ、正しく訳しても意味がずれます。
特に④と⑤に力を入れました。専門用語は、耳で聞いていきなり訳すのが一番難しい。先に日英を並べておけば、当日は照合するだけで済みます。⑤は逆で、訳さなくていい・むしろ訳してはいけない場面を先に決めておくということ。通訳が気を利かせて「たぶん大丈夫だと思います」のような一言を添えてしまうと、それが独り歩きします。ここは先に線を引きました。
商談を「6つの数字を埋める場」と定義した
準備の中で一番効いたのは、この整理でした。商談の目的を「雰囲気よく話す場」ではなく、「6つの数字を埋める場」と定義し直したことです。①独占の範囲、②最低注文数、③納期、④支払い条件、⑤日本までの送料、⑥税金を前払いで送れるか。
この6つが埋まれば成功。埋まらなければ、どれだけ会話が弾んでも前進していません。目的を数字で定義しておくと、通訳を挟んだ会話でも、今どこにいるのか・何が残っているのかが全員に見えるようになります。
⑥の税金の話は、数日前に自分自身が郵便局の窓口で痛感したばかりでした。送る側と受け取る側、どちらが税金を負担する形にするかは、価格設計の生命線です。ここを聞かずに帰ったら、積み上げた計算が丸ごと崩れます。
あわせて決めたのが「その場で約束しない」です。数量・金額・契約条件は、聞かれても全部「持ち帰って計算して連絡します」でいい。初回は決める場ではなく、数字を集める場だと割り切りました。この前提を先に共有しておけば、通訳の側も、答えに詰まったときに無理に何かを答えようとせずに済みます。
自分は作る。足りないところは、人に助けてもらう
今回いちばん腑に落ちたのは、こういうことでした。全部を自分でできるようになってから動く必要はない。自分が作り上げることに集中して、足りないところは助けてもらえばいい。
そのかわり、助けてもらう側にも責任があります。相手が動きやすい形を、こちらが用意すること。資料はそのためのものです。丸投げは、頼っているようで実は相手に負担を押し付けている。
そして、助けてもらったぶんは返す。今そばにいてくれる人たちは、長い時間をかけて付き合ってきた人たちです。この挑戦がうまくいったら、いちばんに還元したいのはその人たちだと思っています。
商談そのものは、まだこれからです。候補日は伝えてあり、通訳の2人にも仮で予定を空けてもらっています。あとは相手の返事次第。次回は、実際に商談が終わったところを書きます。6つの数字がどこまで埋まったか、埋まらなかったものは何か——結果がどちらでも、そのまま記録します。
この連載は、物販チェッカーの開発者が「世界の良いものを日本へ」——クラウドファンディング物販に挑戦する記録です。 まだ成功も失敗も途中経過ですが、リアルタイムで公開していきます。 国内フリマ仕入れ×eBay輸出の実録はブログ一覧から読めます。



