初めての返信が来ました——しかも、決めることができる人から【実録・クラファン挑戦記 #8】
前回、「累計18通で返信ゼロ。ここから1件でも返事が来たら、確率の話は終わって交渉という別の勝負が始まる」と書きました。あれから候補を数件足して、送った提案は20通あまりになっていました。返信は、変わらずゼロのままでした。
その夜、1通の返信が届きました。ヨーロッパの再生素材ブランドからです。廃棄されるはずだった素材を、デザインの力で生活の道具に生まれ変わらせている作り手です。
そして送り主の名前を見て、手が止まりました。共同創業者本人でした。
| 今回のテーマ | 初めての返信——『求める前に、聞く』が届いた日 |
|---|---|
| 現在の進捗 | 初の返信あり・オンライン商談の調整中(まだ成約なし) |
返ってきたのは「答え」だった
返信の内容は、シンプルなものでした。「日本市場を対象とする代理店契約は、現在ひとつもない。ぜひ前向きに話しましょう」。そして、来週の候補日と、「資料があれば事前に送ってほしい」という一文が添えられていました。
この連載で書いてきた通り、私の提案メールは『日本での独占をください』とは書いていません。「日本で売っていますか?」「代理店はいますか?」——質問で終える形にしています。今回の返信は、まさにその質問への答えでした。求める前に聞いたから、相手は答えやすかったのだと思います。売り込みへの返事は後回しにされますが、質問への返事は書きやすい。
もうひとつ気づいたことがあります。返事をくれたのが担当者ではなく共同創業者本人だったのは、偶然ではないかもしれません。小さなブランドほど、外国からの提案は決められる人に直接届きます。大企業なら窓口の担当部署で止まっていたはずの一通が、決裁できる人の受信箱に入った。相手の規模は、弱点ではなく入口の広さでもありました。
「資料を事前に」と言われて、慌てなかった理由
返信には「会社やプロジェクトの資料があれば、通話の前に共有してほしい」とありました。ここで慌てなかったのは、正直に言えば偶然ではありません。返信が来る前から、英語の会社案内を少しずつ作り溜めていたからです。
この連載の第4回で、「もし話が進んだら、をあらかじめ設計しておく」と書きました。あのときは気が早いかとも思いましたが、今回それがそのまま効きました。返信は、来るときは突然来ます。来てから資料を作り始めていたら、相手の熱が冷めないうちに返すことはできませんでした。
その日のうちに返信し、翌日には会社案内とプロジェクトの提案資料を仕上げて送りました。提案資料の中身はまだ書けませんが、ひとつだけ方針を共有すると、「決まっていないことを、決まったことのように書かない」。条件の話は全部、会って話す場に残しました。
20通の意味が、1通で変わった
20通あまり送って、返事は1通。率にすれば数%で、世界的に言われる相場の通りでした。つまり、特別なことは何も起きていません。確率の通りに、確率が働いただけです。
でも、体感はまるで違います。返信ゼロの間、「拒否された20回」と「まだ母数が足りない」の間を行き来していた気持ちが、1通の返信で全部回収されました。あの20通がなければ、この1通はありません。
ここから先は、確率ではなく交渉です。英語での商談になるので、通訳に入ってもらう準備も始めました。独占の話がまとまるのか、条件が合わずに流れるのか——まだ何も決まっていません。うまくいってもいかなくても、そのまま書きます。
この連載は、物販チェッカーの開発者が「世界の良いものを日本へ」——クラウドファンディング物販に挑戦する記録です。 まだ成功も失敗も途中経過ですが、リアルタイムで公開していきます。 国内フリマ仕入れ×eBay輸出の実録はブログ一覧から読めます。



