「どちらでも構いません」と書いた交渉文を、全部書き直した日——ページの空欄はぜんぶ相手との対話でできていた話【実録・クラファン挑戦記 #16】

サンプルページを土台に、プロジェクトページの作成を進めています。進めてみると、入力欄が次々に出てきます。リターンの内容、価格、提供予定時期、数量、写真、目標金額、募集の方式——。
最初は「埋める作業」だと思っていました。途中で気づきました。これは埋める作業ではなく、そのほとんどが、海外の作り手と話して初めて埋まる欄です。今回は、その気づきと、対話のための文面づくりでやってしまった失敗を書きます。
| 今回のテーマ | 交渉文は「お願いする側の言葉」で書く/書類の空欄は相談の議題リスト |
|---|---|
| 現在の進捗 | ページ作成中・作り手と相談しながら詳細を詰める段階(まだ成約なし) |
空欄のリストは、そのまま「相談の議題リスト」だった
リターンの価格を入れるには卸値が要る。提供予定時期を入れるには製作にかかる日数が要る。写真の欄には、作り手が持っている公式の写真をお借りするのが一番いい。数量の欄は、作り手の生産の事情と切り離せない——。
つまり、ページの空欄を上から順に見ていくと、それがそのまま「作り手と相談すべきことの一覧」になっていました。書類の空欄は、こちらが独りで埋める宿題ではなく、相手との対話の議題リストだった。この見方に変わってから、ページ作成が急に進めやすくなりました。
自分だけで埋められる欄(カテゴリや自社の情報)と、相手と話して埋める欄を分ける。それだけで、「何をどの順番で聞くか」が決まります。
効率のいい文面を作って、止められた
相談すべきことが見えたので、作り手に送る文面を、AIに手伝わせながら組み立てました。出てきた文面は、論点が整理され、選択肢が並び、一見とても効率的でした。数量の相談のくだりは、こう書かれていました。「今回は見送りますか、それとも少数でも始めますか。当社はどちらでも構いません」。
読んだ瞬間、これでは駄目だと思いました。整理はされている。でも、想いがどこにもない。「どちらでも構いません」——一緒にやりたいと思っている相手に、こんな他人事のような言葉を送るところでした。
選択肢を並べて相手に選ばせるのは、一見フェアで丁寧に見えます。でも受け取る側からすれば、「この人たちはどうしたいのか」が見えない文章です。判断を全部こちらに投げてくる相手と、一緒にやりたいと思えるでしょうか。
直し方はひとつ。先に自分の考えを言い、そのうえで相手に聞く
文面は全部書き直しました。軸はひとつだけです。先に自分たちの考えと想いを言う。そのうえで、相手の考えを聞く。この順番を崩さない。
数量のくだりは、こうなりました。「私たちは、たとえ少数からでも始めて、少しずつでも認知を広げていくことが重要だと考えています。ひとつ、またひとつと、続けて紹介していきたい——このプロジェクトはその第一歩です。そのうえで、生産のご事情に本当に合う形を、ご一緒に見つけられたら嬉しいです」。
伝える中身は同じです。数量は少ないかもしれない、それでもやるかどうか、という相談であることは変わりません。でも、こちらの旗を先に立ててから聞くのと、白紙の選択肢を突きつけるのとでは、届き方がまるで違います。
効率的に見える文章ほど、想いが抜ける
今回いちばん怖いと思ったのはここです。悪意があって他人行儀な文章になったのではなく、論点を整理して効率を上げようとした結果、自然にそうなったということです。箇条書きにして、選択肢を並べて、相手が答えやすいように——と磨けば磨くほど、文章から「なぜあなたと一緒にやりたいのか」が消えていきます。
だからルールにしました。社外に送る文章は、送る前に必ず一度だけ確かめる。「これは、お願いする側の言葉になっているか」。この一つの問いで、今回の失敗は防げていました。
今日から使えるポイント
ひとつ。申請書やページの空欄リストは、そのまま「相手との相談の議題リスト」に変換する。自分で埋める欄と、相手と話して埋める欄に分ければ、聞く順番まで決まります。
ふたつ。交渉やお願いの文章は、「先に自分の考えと想いを言い、そのうえで相手の考えを聞く」の順番で書く。「どちらでも構いません」のような、こちらの旗がない言葉を使わない。
みっつ。効率よく整理された文章ができたときほど、送る前に一度読み返して「これはお願いする側の言葉か」を確かめる。整理と想いは両立できますが、放っておくと整理が想いを追い出します。
この連載は、物販チェッカーの開発者が「世界の良いものを日本へ」——クラウドファンディング物販に挑戦する記録です。 まだ成功も失敗も途中経過ですが、リアルタイムで公開していきます。 国内フリマ仕入れ×eBay輸出の実録はブログ一覧から読めます。



