「少額なら関税ゼロ」は、革製品には効きませんでした——値段を決める前に調べた話【実録・クラファン挑戦記 #12】

商談の準備をしながら、値段の組み立てを先に考えていました。卸値が分かってから計算すればいい、と思っていたのですが、その前に調べておくべきことがありました。輸入にかかる税金です。
調べてみて、正直に言うと青ざめました。扱おうとしている商品の素材が、ちょうど例外に当たっていたからです。今回はその中身と、値段を決める前に何を並べておくべきかを書きます。
| 今回のテーマ | 輸入の税金は「誰が・いつ・いくら払うか」から設計する |
|---|---|
| 現在の進捗 | 商談準備中・国内クラウドファンディングは審査結果待ち(まだ成約なし) |
「1万円以下なら免税」——ここまでは知っていた
海外から日本へ商品を送るとき、課税価格が1万円以下なら関税と輸入消費税が免除される、という決まりがあります。課税価格は、個人が自分で使うために買った場合、海外の小売価格の6割で計算されます。逆算すると、購入価格でおよそ16,666円までが免税の目安になります。
海外から直接お客様へ送る形を考えていたので、この枠に収まる価格帯なら税金の話は起きない——そう思っていました。ここまでは、事前に調べてあったつもりでした。
青ざめたのは、そのあとだった。免税には「適用除外」がある
この免税には適用除外があります。金額がいくら安くても免税にならない品目が、あらかじめ決められているのです。革製のカバン・ハンドバッグ・手袋、ニットの衣類、履物、スキー靴などがそれにあたります。
扱おうとしている商品は、まさに革素材でした。つまり、いくら安く設定しても免税にはならず、必ず課税されます。前提が丸ごと崩れました。
ここで痛かったのは「知らなかった」ことより「調べる順番が遅かった」ことです。商品を決めてから税金を調べたので、この事実が出てきた時点で組み直しになりました。逆にしていれば、最初から課税前提で数字を組めていました。
これが「直接お届けする形」にとって何を意味するか
海外から購入者お一人お一人へ直接送る形をとると、税金の請求先も一人一人になります。何も知らされていない方の玄関先で、配達の方から「お渡しの前に◯◯円お願いします」と言われる——そういう場面が起きうるということです。
商品代をすでに払っている本人からすれば「もう払ったのに、なぜまた取られるのか」となります。100人が支援してくださったら、同じ問い合わせが100件来るかもしれません。これは、起きてから謝る種類の問題ではないと思いました。
送り方には2種類あった——受取人払いか、送り主の前払いか
調べていくと、海外発送には税金の払い方で2つの型があると分かりました。ひとつは受け取る人が払う形(DDU/DAP と呼ばれます)。もうひとつは、送る側が先に税金を払っておき、受け取る人は何も払わずに受け取れる形(DDP)です。
個人のお客様へ海外から直接送るなら、DDPにできるかどうかが生命線になります。実は数日前、逆向きの輸出でまったく同じ構図を経験したばかりでした。米国宛てに商品を送ったとき、関税は売り手が先に払う方式しか選べず、その場で会社負担にしました。輸出でも輸入でも、詰まるのは同じ一点です。誰が、いつ、いくら払うのか。
値段は、この6つを全部並べてから決める
今回のことで、価格の組み立て方を先に決めました。卸値/日本までの送料/関税・輸入消費税/クラウドファンディングの手数料(およそ2割)/為替が動いたときの余裕/自分の利益。この6つを全部足したうえで、「それでも欲しい」と思っていただける価格に収まるかを見ます。
収まらないなら、その商品はやらない。これは我慢ではなく判断です。表に出ている卸値だけを見て「これなら利益が出る」と決めると、あとから乗ってくる費用で必ず足りなくなります。
ついでに知った、これから変わること
調べている途中で、この免税の枠そのものが見直されることも分かりました。個人が自分で使う目的の輸入で課税価格を6割で計算できる特例が廃止される方向で、通信販売で輸入される1万円以下の品物も消費税の課税対象にする方針が示されています。施行は2028年からで、具体的な日は今後の政令で決まる予定です。
念のため書いておくと、これは私の推測ではなく、国の審議会の資料と報道で公表されている内容です。ただし施行日はまだ確定していないので、実際に始まる時期は改めて確認します。
つまり、今回調べた前提も数年で変わります。ここは「一度調べたら終わり」にできない領域だ、というのが今日いちばんの収穫でした。
今日から使えるポイント
ひとつ。輸入を考えているなら、商品を決める前に「その品目が免税の適用除外に入っていないか」を調べる。革・ニット・履物のあたりは、金額に関係なく課税されます。品目名で税関の案内を検索すれば、その日のうちに確認できます。
ふたつ。お客様へ直接お届けする形をとるなら、税金の払い方(受取人払いか、送り主の前払いか)を先に決める。ここを決めずに販売を始めると、届いた先で必ずもめます。
みっつ。値段は「卸値+利益」ではなく、上に書いた6つを全部並べてから決める。並べてみて収まらない商品は、勇気を出してやらない。
この3つは、輸入に限らず「表の価格の裏に何が乗るか」を数える話です。今日ひとつだけ、ご自分が扱っている商品で、まだ数えていない費用がないか確かめてみてください。
この連載は、物販チェッカーの開発者が「世界の良いものを日本へ」——クラウドファンディング物販に挑戦する記録です。 まだ成功も失敗も途中経過ですが、リアルタイムで公開していきます。 国内フリマ仕入れ×eBay輸出の実録はブログ一覧から読めます。



